「特牛」ってなんですか、とこのタイトルを見た人は思うだろう。特上の牛肉の事か、それとも牛丼の特盛りの業界用語か何かか、と。実はそうではない。
　これは、「こっとい」と読む。普通のIMEなら登録されていると思うので、変換して試して欲しい。そういう地名があるのだ。
　この特牛というのは、山口県の西端、下関のやや北にある小さな町だ。そこが何かというと、私の父方の実家がそこにあり、この87年の夏に遊びに行ったのだ。
　父方の実家には、私の父の兄、つまり伯父が住んでいた。伯父には息子、従って私の従兄弟にあたる人が2人いて、その兄の方が、PC-8801mkIIを持っていたのだ。
　で、ここには一週間ほど泊まっていたのだが、その時触らせてもらったのだ。

　とは言うものの、実際はその従兄弟の人はバイトやらなんやらで忙しかったらしく、あんまり家にいなかった。ので、私はどっちかというとその弟の部屋の方で(寝泊り自体この弟くんの部屋でしてた)、ファミコンをやってる時間が長かった。私のこの従兄弟は異常にゲームが上手く、当時のハドソンのゲームキャラバンでなんだか賞を取ったとか取らないとか言ってたくらい(ごめん、記憶が曖昧だ)の腕前だった。
　そういうわけで、良く一緒にファミコンをやってたっけ。ドラクエIIやスターソルジャーをやったし、グラディウスなんて二人で交互にプレイして何周もした。時空の旅人なんかもやったっけ。

　そんな中、お兄さんの方がいた時に、ちょこっとだけは触らせてもらった。ウルティマIIIや、ウィザードリィが走っていた。
　いやあ、いいね。前にも書いた通り、私は学校の教師からPC-8801を貸してもらったりしていたので、いじるのは全然初めてというわけではなかったが、その従兄弟が見せてくれたゲームのいくつかは、生まれて初めて触る代物だった。
　やはりなんつーかね、いいわけですよ。その頃の洋ゲーの香りっていうかなんていうか。あの味気なさ、素っ気なさと、そしてその向こうにある神秘的な世界観。そのへんがたまらなかった。
　そんなわけで、これもまた私のPCへの憧れをかきたてた、ちょっとしたエピソードではあった。