メーカー	任天堂	発売日	2004-04-29
機種	GC	ジャンル	RTS
評価	★★★★

目新しいシステムと、CMソングの人気で、新規IPとしては珍しく反響を呼んだピクミンの続編。よりマイルドなゲーム性になりつつも、色々システムが充実した。

　● ボコスカ感増し

　独特なゲーム性と、CMソングである「愛のうた」の思いがけないヒットもあって、抜群の知名度となった前作に続き、続編として2が登場した。

　前作で、謎の惑星に不時着したオリマーは、ピクミンたちの力を借りて宇宙船を修復し、無事ホコタテ星に帰る事が出来た。
　しかし、そこで待ち受けていたのは、会社(ホコタテ運送)の凋落だった。オリマーがいない間に、輸送品の破損事故を起こし、そのため会社は莫大な借金を背負ってしまい、全て差し押さえられてしまった。今オリマーが乗って帰ってきたドルフィン号も、早速借金のカタとして持っていかれてしまった。
　もう破滅するしかない…と思われる状況だが、オリマーがたまたまその謎の惑星から持ち帰った宝物が、ホコタテ星では価値を持つ事が分かり、それで一発逆転しようとシャチョーが思いつく。そこで、唯一残ったドルフィン号の初号機(ボロい)に、若い社員であるルーイと2人で乗り込み、また謎の惑星に出発する。
　このストーリーで分かる通り、前回の目的は壊れた船のパーツを集めてホコタテ星に帰る事だったが、今回の目的は、お宝を集める事になる。

　大まかなゲームシステムは、前作とあまり変わりはない。ピクミンを育て、戦わせ、死体やペレットや宝物を運搬させ、増やすというサイクルでゲームを進めていく。

　変更点として大きいのは、ストーリーにあるように、オリマー＆ルーイという2人のキャラを操作できるようになった事かな。
　ステージがスタートすると、地面にはオリマーとルーイが立っている形になる。操作対象はどちらかで、例えばオリマーを操作しているとすると、ルーイはそのまま地面に突っ立っている。ただ、他のピクミンと同じく、笛を吹いて追従状態にすると、自分の後を着いてくる。ただしピクミンと違って相棒を投げる事はできない。
　そして、ボタンで操作対象をいつでも切り替える事ができるので、例えばオリマーで遠征して敵やペレットを母船に運ばせつつ、ルーイはその母船側にいて、戻ってきたピクミンを定期的にオリマーのところに持っていくとか、そういった役割分担が可能となる。
　元々ピクミンのRTS性は、あるピクミンたちに壁を叩かせたり、運搬させたりしている間、他のピクミンに別の事をさせる…などという分担のところにあった。しかし、画面いっぱいにマップを表示してマウスで操作できるPC向けRTSと異なり、操作をするオリマーたちの移動が必要なので、折角「複数の場所でピクミンを平行作業させられる」というRTS的な仕組みがあっても、それが生かせないところがあった。
　ま、そのへんの解決の手段としての、2人操作なのだろう。

　それから、パッと見で分かるキャッチーな変更として、白ピクミン、紫ピクミンという2種類の新色ピクミンが追加されている、というのがある。任天堂もわりとこのへんを売りにしていた。
　白ピクミンは、毒属性を持っており、毒ガス等に強い他、もし敵に食べられた場合その敵に毒ダメージを与える事ができる、という性質がある。また、地面に隠された物を発見できるという、重要な能力がある。紫ピクミンは見た目からしてヘビー級で、そのまんま重いというのが特性だ。だから飛ばないし、歩くのも遅い。その代わり、ピクミンの重さで発動する仕掛けを少ない頭数で動かせるし、物を持たせる時も1匹で他ピクミンの10倍のパワーを発揮する。
　この白・紫ピクミンは、従来のピクミンと違い、オニヨンが存在しない。よって、敵やペレットを運ばせて増やす、という事が一切できない。
　ではどうやって増やすのかと言うと、前作にも登場したポンガシグサを利用するしかない。ポンガシグサは、いわばピクミンの色変換装置で、投げ入れたピクミンを別の色に変換して生み出す、という生き物だ。で、今回は紫と白のポンガシグサがあるので、それらに他の色のピクミンを投げて変換するのだ。

　既存の赤・黄・青ピクミンは健在だが、黄ピクミンの性能が変わっている。前作では、高く飛ばせる事と、バクダン岩を持てる事が特徴だったが、後者がなくなっている。その代わり、「電気に強い」という特性が付加されている。これを利用して、電気の通った柵や、電流を発する敵の処理を担当させる事になる。

　あとは、ゲーム全体の日数制限がなくなっているのも特徴ではある。
　前作では、不時着だったため、生命維持装置の残量に限界があり、30日を過ぎるとバッドエンディングになるという仕組みになっていた。このため、なるべく1日にたくさんの行動をせねばならず、初心者には難解な内容となっていた。
　今回、意図的に惑星に降りたので、生命維持装置の残量はたっぷりあり、何日になったらゲームオーバーというような制限がない。1日内の時間制限は相変わらずあり、夜になったらピクミンを回収しないと捕食されてしまうというのは前作と一緒だ。ただ、総日数に期限がないので、午前中ちょっと作業して、もう1日を終了する、とかしてしまっても構わない。
　これだけで、だいぶぬるいゲームになっている。前作の雰囲気が好きだった人からすると、だいぶまったりゲーになったなあという印象はあると思うが、前作は例のCMソングのヒットとかもあったのか、恐らく想定より低い年齢のプレイヤーや、ゲーム慣れしていない女性とかも手に取ったのだろう。そういう事を考えると、難易度を下げる方向なのは納得感はある。

　その代わり、今作には、地下洞窟がある。
　地下洞窟は、地下5階とか、10階とかまである、それこそダンジョンである。入るたびに若干フロアの形が変わるという、ローグ要素が謎に追加されている。
　で、地上の場合のゲームの進め方は、ピクミンで敵を倒して、ペレットをオニヨンに持ち帰らせ、ピクミンを更に増やすというフローになるが、地下洞窟ではオニヨンがなくなる。という事は、ピクミンが増やせないし、手持ちピクミンの構成を変える事ができない、という事になる(ただしポンガシグサを使って、ある程度は可能である)。
　そのため、ボコスカウォーズのような、最初の手持ちをやりくりしてどうにか最後まで到達する、というような進め方となり、だいぶ地上とはプレイ感が異なる。ボコスカウォーズが好きな私は、結構この地下洞窟は好きだった(大変だけど)。
　つまり、ピクミン2では、1のような、厳しい時間制限がなくなった代わりに、地下洞窟が入った事により、「手持ちピクミンを減らさないようにやりくりする」という新しいゲーム性を獲得した。
　で、私のようなせこい人間は、「時間制限がなくてピクミン数に制限がある」という話なら、こうすりゃいいじゃんって事で、基本主人公のパンチでどうにかしていた。主人公であるオリマーやルーイも、前作同様、パンチで若干のダメージを与える事ができる。あんまり強くないので、基本は使わないが、この洞窟に限っては、ピクミンをできるだけ減らしたくないので、可能な限りパンチで敵を片付けていた。で、ある程度綺麗になってから、それ以外の奴をピクミンで倒す、と。主人公もダメージを食らうので、なるべくそうならないようにうまーくヒットアンドアウェイで切り抜けるしかないが。

　前作で好きだった要素も色々引き継がれている。
　前のレビューでも書いているが、オリマーたちがやってきた星は、人類が滅びた後の地球だと考えられ、置いてあるお宝も、主に昭和の日本でなら見慣れている物ばかりである(未来のお話なのだから、別に昭和に限らなくていいのだが、なぜか少しレトロ感を出している)。例えば、ナショナル乾電池だとか、マルハの缶詰だとか、そういう感じの物だ。メーカー名が出ているので、きちんと承諾も取っているらしい。任天堂自身のプロダクトも多く、ファミコンやゲーム＆ウォッチ、ラブテスターなどなど。もちろんオリマーたちは正式名称を知らないので、例えばカスタネットなら「ハーモニック・シンセサイザー」など大仰な名前になっている。
　また、生物図鑑も、デフォルトで実装されている。前作では、それぞれの生き物の詳細は、エンディングムービーの中で紹介される(だから私はわざわざビデオに録ったよ…)。この図鑑が、色々SFチックな考察もあって、私は好きだった。

　ちなみに、ゲーム自体は、ホコタテ運送が背負った借金である、10000ポコに相当するだけのお宝を手に入れたら、いったんエンディングになる。このエンディングの中で、非情な事に、ルーイは惑星に置いていかれてしまう。つまりオリマーが一人で帰ってしまう。
　で、エンディング後もやり込み用にプレイが可能なのだが、更にお宝を集めるために、今度はシャチョーが自ら来るという話になる。従って、オリマー＆シャチョーを操作する。やがて、「虫の王」という名前のアイテムとして、ルーイを救出する。どうやら原生生物の中でどうにか生き延びていたらしい。
　それからは、図鑑にルーイのメモが追加されるが、それには、それぞれの生き物について、味とか調理法が書かれている。どうやら色々食べたらしい…。

　さて、正直、ゲームとしてのインパクトは1の方が上だと思う。2の方が完成度が上がっているし、また時間制限がゆるやかになり、じっくり腰を据えてプレイできるようになった事から、よりとっつきやすいゲームになったとは思う。それでも、そのシビアな時間制限も含めて、1のインパクトは強かった。
　ただ、2もやはり名作ではある。この摩訶不思議な世界を、良く作り込んだなあ、と感心する。みんな1度はプレイしてみて欲しい。