メーカー	SPS	発売日	1993-11-11
機種	X68k	ジャンル	シューティング
評価	★★☆☆☆

MSX時代の名作「グラディウス2」をX68k用にリメイク。その着眼点はいいんだけど、発売を巡って色々とあったようだ。

　● 目のつけどころはシャープ

　タイトルからは、これがなんのゲームだか分からないだろう。しかも、発売されたのが93年なのに、タイトルは「'90改」である。事情を知らない人は疑問符がつきまくるのではないか。
　このゲームは、かつて当VGRで五つ星をとった名作ゲーム、MSX版グラディウス2をX68k用にリメイクしたものである。開発はSPSが担当している。ハードの性能が段違いなので、当然ながらグラフィックや音楽が大幅に強化されている。
　で、このゲームは実は90年の発売が予定されていた。確か、89年の終わりか90年の頭くらいにスクープとして雑誌に載り、あのグラディウス2のリメイクという事で話題になった。それが、「ネメシス'90」である。
　ところがその後、情報がだんだん出なくなり、やがて全く音沙汰もなくなった。開発中止ではないかという話であった。

　それから3年後、驚いた事に「やっぱり出す」みたいな情報が流れ、そして実際の発売にこぎつけたのである。みんなとっくに忘れていただけに、ビックリしたというか、「今更？」みたいな気持ちにもなった。

　このゲームの、目のつけどころはいいと思う。私がかつて高く評価したように、MSXのグラディウス2というのは良く出来たゲームである。このレビューでは最高点の5つ星をつけているあれだ。しかし悲しい事にハードがとても非力なMSXであり、スクロールはガタガタだし、キャラは基本的に単色だし、見た目などの点は非常に見劣りしてしまう。それを、X68kのパワフルなスペックをいかしてリメイクしようというのだから、これは期待せずにはいられない。
　しかし現実にはどうだったかというと、世間的には評判が良くなかった。特に、FM音源版のBGMがチープすぎるというのは、発売当時の雑誌などでも指摘されていたと思う。原作のMSX版グラディウス2の曲がとても良かっただけに、とても残念である。後は、細かい操作性なども詰めが甘かったように感じた。
　とは言え、全体的にはそう悪くなかったんじゃないかと思う。このゲームは7面まで行くとそこから引き返していくんだけど、その帰りのステージ構成が行きのステージそのままではなく、色々とアレンジされている。このへんは意欲を評価していい。
　あとは当然だけど、グラフィックは書き直されて綺麗になっているし、オプションも4つまでつけられる。MSX版よりパワーアップしている。
　ただそのグラフィックだけど、個人的にはグラディウステイストに欠ける感じがした。やっぱ本家コナミのグラフィックとは違うのかな。ちょっと違和感があった。だから私としては、音楽よりもその方が気になった。

　まあそういう発売時のぐだぐだもあって、制作は難しかったんだろうけど、少しチューニングが甘い印象のあるソフトだった。
　私が大好きなゲームでもあるし、世間的にも名作と見なされている作品のリメイクなので、もうちょっと頑張って欲しかったな、というのが正直な感想だ。