メーカー	ナムコ	発売日	1984-08
機種	アーケード	ジャンル	アクション
評価	★★☆☆☆

パックマンのキャラクタを使い、全く別のゲームになった続編(？)。横スクロールのオーソドックスなジャンプアクションだが、独自の操作系を持っている。世界観や音楽が秀逸。

　● ゲームの個性

　「パックランド」は、一応「パックマン」の続編という事になっているのだろうか？　キャラクタは共通だが、ゲーム的には全く違ったものになっている。
　このゲームは、操作系統が特殊で、初めてコンパネを見た時には結構驚いた。ボタンが3つしか無いのだ。それぞれ、左右移動ボタンと、ジャンプボタンにあたる。それより昔は結構ゲームによって操作方法はバラバラだったのだが、この頃はわりとレバー＋ボタンという形が定着してきていた(その割には、ここでとりあげるのは空手道やハイパーオリンピックなど特殊な操作のゲームばかりだけど)。なので、3ボタンによる操作というのはちょっと意外だった。

　もう一つ驚いた事があって、それはモニタの前にあるガラスが真っ二つにひび割れていた事なのだが、これはパックランドの特徴というより、私の行ってたゲーセンのメンテナンス上の事情だろう。

　ゲームとしては、比較的オーソドックスなジャンプアクションゲームである。オーソドックスとは言え、この後コンシューマで発売される「スーパーマリオブラザーズ」における、横にどんどんスクロールしていくジャンプアクションゲームというジャンルの基礎を作ったのは、このパックランドと言っていいだろう。
　基本的には、横にどんどんスクロールしていき、マップの端まで行くとクリアである。パックマン自体にはほとんど攻撃手段が無いので、敵や障害物をジャンプで交わしていくというのが基本的なスタイルである。

　このゲームの一つの大きな特徴は、いわゆる隠しフィーチャーというものが満載されている事である。マップの中の何かを押すと何かが起こるとか、特定の場所に行くと何かが起こるとか、そんな具合に「普通にプレイする分にはわからない(無視できる)んだけど、知っていると楽しめる」ような要素がたくさん盛り込まれていた。そして、それらの隠しフィーチャーはボーナス得点に結びついており、当時スコア稼ぎに血道をあげていた人達にはこれらの隠しフィーチャーをどれだけ知り尽くすかという事がとても重要だった。
　このような隠し要素満載という流れは後の「ドルアーガの塔」で極端なまでに先鋭化され、やがてファミコンゲームにおける普遍的な要素となってゆく。

　このパックランドの素晴らしいところは、その独自の世界観だ。…と、これまでナムコゲームを取り上げるたびのその「世界観」でほめてきたし、きっとこの先しばらくはそうするだろうけど、このパックランドもとても秀逸である。
　まず絵柄が統一されており、他のゲームとのハッキリとした違いを浮き立たせている。黒線でひいたアウトラインにベタ塗りという、今のポリゴンゲーに対するトゥーンシェードみたいな一風違った感じを醸し出してた。
　また、音楽が素晴らしかった。ある独特で一度耳にしたら頭から離れないようなメロディを、ちょっとずつ違うアレンジで構成していくつもの曲を作っている。元々持っている音色や効果音の「ナムコらしさ」と相乗して、もう音楽だけで一つの世界を作り上げていた。
　正直、この頃はもうすでに似たようなゲームが少しずつ増えてきていて、だんだんとゲームの個性が失われてきていたんだけど、このパックランドだけは特別だった。絵、内容、操作方法、音楽、世界観…どれをとっても「パックランド」であり、それ以外の何物でもなかった。
　そういう独自の世界を作り上げているという意味で、私はこのゲームを高く評価している。