メーカー	ハドソン	発売日	1984-07-28
機種	ファミコン	ジャンル	アクションパズル
評価	★★☆☆☆

見た目は単純なアクションゲームなのだが、その実ジャンプ位置や移動手段を考えるパズルゲームになっている。

　● 「子供の遊び」が変わっていく

　ある日、良く遊んでいる友達がファミコンを買ったという。最初に買ったソフトは、「ドンキーコング3」らしい。ので、そいつの家に遊びに行った時、やらせてもらった。
　しばらくすると、そのファミコンを持ってる友達と仲のいい別の友達が、自分はファミコンを持っていないのにも関わらず一本ソフトを買ってきた。それが「ナッツ＆ミルク」だった。

　ナッツ＆ミルクは、ちょっと不思議なテイストのゲームだ。
　パッと見には、この時代に良くありがちだったアクションゲームである。お邪魔な敵がいるから、それを避けながらフルーツを全部集めなさい、とかそんな感じのゲームである。実際、その手のゲームはこの頃たくさんあった(ドアドアとかっぽい感じのゲームね)。
　ところが、このナッツ＆ミルクはそれらのゲームとはちょっと違う。それは、パズル要素が含まれているという事だ。
　主人公は、1マス分しか飛び上がる事が出来ない。従って、重力に従って落ちてしまうと、なかなか(あるいは二度と)元の位置に戻れなかったりする。なので、どういうルートでフルーツを集めるのかを考えないといけない。
　アクション性のあるパズルゲームというもの自体はこの頃も結構あったが(ロードランナーやフラッピーなど)、このナッツ＆ミルクのようによりアクションの方に傾いているゲームというのは珍しかった(後にレッキングクルーなどが続く)。

　そういう訳で、幼い頃の我々はこのゲームに熱中した。この時代は何でも面白くて、単純なアクションでも喜んでやっていたのだが、アクションパズルというのもまた格別だった。特にパズルと言ってもそんなに頭を使うようなゲームでもなく、どちらかと言うと指先のテクを要するようなものだから、何度も失敗しては挑戦して、という感じに熱中していった。

　そんなこんなで、この時期を境に「遊ぶ」というイメージが子供達の間で変わっていった。それまで「遊ぶ」と言えば、なんとなく公園でキャッチボールをしたり、追いかけっこをしたりというのが定番であったが、このように同級生にファミコンを持っているような奴が現れると、そいつの家に集まってゲームする事が「遊ぶ」の一つの選択肢になっていった。
　そしてその後、それはただの「選択肢」だけでなく、もはや「遊ぶ」事のデフォルトと変化していった。