メーカー	ナムコ	発売日	1980-05
機種	アーケード	ジャンル	迷路アクション
評価	★★☆☆☆

「ナムコ」という名前を世に知らしめたと言っていい大ヒット作。独特なゲーム性も評価できるが、それ以上に「キャラクタ」というのものを前面に押し出した画期的な作品。

　● ゲーム喫茶の時代

　ナムコがこの「パックマン」を発表したのが、1980年の5月。その前年に「ギャラクシアン」を発表しているのだが、このレビューでは飛ばしている。何せ、私は当時幼稚園児だかそこらなので、とてもじゃないけどアーケードゲームなどやりに行ける年齢ではなかったのだ。
　しかし、前回の「スペースインベーダー」とこの「パックマン」だけはやったという記憶がある。一つには、それらの作品は大ヒット作だったため、年代を越えて稼動し続け、私がある程度大きくなるまでゲームセンターに存在していたというのと、当時幼稚園児の私ですらリアルタイムでやった事がある、というくらい普及していたというのがある。

　ここで、昔のアーケードゲームに詳しくない人に説明しておく。昔のアーケードゲームは、「テーブル筐体」という筐体に入っていた。このテーブル型の筐体は、その名の通りテーブルとして使われる事を前提としている。テーブルの上面にモニタがあり、ゲームをする時にはそれを上から覗き込む形でプレイする。上面は分厚いガラス板がはめこまれているので、ゲームをしない時は上にコーヒーやら灰皿やらを並べて普通のテーブルとして使う事ができた。
　これは、アーケードゲームというものが出始めた当時、今のようにゲームセンターというものはなかったので、基本的にそれらのゲームは喫茶店や駄菓子屋に導入されたのが理由だ。普段はテーブル、コインを入れればゲームという使われ方をしたのだ。
　そう言う事で、私がこの「パックマン」をやった事があるというのも、親に連れられて行った喫茶店にたまたまあって、プレイする機会があったからという事情がある。

　余談になるが、このテーブル型筐体はその形状を長い事保ち続けた。アーケードゲームが喫茶店等に普及していた時期は短く、この後比較的すぐ「ゲームセンター」という場所が出現し、そこに集中して導入される事になる。ゲームセンターではもはやテーブル型をしている必要はないのだが(別に上で飯食うわけじゃないし)、慣習的にその形になっていた。テーブル型筐体の大きな欠点として、モニタが真上を向いているので、照明や太陽の映り込みが激しくて画面が見づらいというのがある。我々ゲーマーはその点について長い事悩まされつづけた。当時のゲーセンの良くある風景として、そのテーブル筐体の上に、覆いになる段ボール箱が乗っているというのがあった。プレイヤーはこの段ボールに顔をつっこんでプレイする。そうすると映り込みが軽減するのだ。
　やがて「別にテーブル型じゃなくてもいいじゃん」という事に気づき、今ではほとんどが斜め上に向いたモニタを備えた筐体ばかりになっている。もっと早く気づけよ、と言いたい。

　閑話休題。
　「パックマン」の面白さは、普段は敵に対して攻撃をする事の不可能な自分が、「パワーエサ」という物体を食べる事により、一定時間無敵になって敵を倒す事が可能になる、という部分である。しかも、連続して敵を倒すと倍々に点数が高くなっていく。つまり、敵を引きつけておいて一気に倒すと高得点が狙えるのだ。
　また、ボーナスアイテム等もあり、得点稼ぎをしたい人は工夫したプレイを求められる。このように、ナムコはスコアメイクに対して色々と面白いアイデアを導入しており、ここからしばらくナムコはゲーム性に関して他の追随を許さない存在になっていく。

　さて、私自身の「パックマン」に対する評価は、あまり高くない。星が2つだが、実質的に星1個でもおかしくない。1つ上乗せされているのは、歴史的な価値も評価しての事だ。実のところ、あまりゲームとして面白いとは感じていない。それは、前回「スペースインベーダー」の時も同じような事を書いたが、何か私の感性と合わない部分があるのだ。しかし、言葉では非常に説明しづらい。

　ま、それはともかく、分かりやすいキャラクタ、一発逆転という爽快感のあるゲームシステムなど、ゲームの歴史に輝く名作と言ってもいいだろう。